現在うつ病治療で休職中です。
順調に回復して辛いうつを乗り越えたので、リワークに通っての職場復帰を考えています。
ですがリワークとは実際どういったところなのでしょうか?
リワークの詳しい内容を教えてください。
今回はこんな疑問にお答えします。
休職からしばらく経つと、体調が少しずつ良くなっている実感が出てきます。
そんなあなたは、
さぁ、ぼちぼち仕事のことも考えないとな~!
と働く意欲もゆるやかに回復してくる頃だと思います。
ですが
- 体力が戻ったけど、意欲が委縮している
- 働く意思はあるけど、職場復帰に不安や恐怖を感じている
こんな感じで自信を失っている人も多いでしょう。
ですので内心は、
- 休職前のように働けるだろうか…
- 休職前のように上司や同僚と馴染めるだろうか…
- 何よりも、うつの症状が再発するのが恐ろしい…
というモヤモヤでいっぱいです。
言わば骨折して骨はくっついたけど、長い間動かしていないので、関節がガチガチに固まってる状態です。
普通はここからリハビリに入りますし、急に動かすと筋肉が切れたりします。
辛いうつもそれと同じで、リハビリをこなして不安や恐れを「ある程度」克服しないと、復職後も再発してしまう可能性があります。
ですが安心してください。うつ病などの精神疾患でも、リハビリができるところがあります。
それがリワークプログラム(以下、リワーク)という復職専門の訓練所です。
リワークでの研修プログラムに参加することで、あなたの悩みや不安を少しずつ解消していけます。
辛いうつからのリワークは、スムーズな復職におすすめな選択肢だといえます。
今回の記事の概要は
という流れで解説したいと思います。
リワークを利用した、辛いうつを繰り返さない復職方法
リワークとは?
リワークとは、精神疾患を理由に休職した人が、復職しやすいように支援する研修のことです。
どの機関も区分では医療機関に属するため、健康保険証があれば料金は3割負担で受けられます。
リワークの種類は主に4種類あります。
- クリニックや病院などの医療機関で行う医療リワーク(3割負担で日額2,000~3,000円程度(目安))
- 企業やNPOなどの民間団体が行うで民間系リワーク(日額900円程度(目安))
- 各企業が行う職場リワーク(多くは企業が利用料を負担する)
- 地域障害者職業センターで行う職リハリワーク(無料)
職リハリワークでは利用者との面談だけでなく、勤め先の上司を交えての3者面談もあります。
これは企業に精神疾患を理解してもらう上で、とても有効です。
ちなみに医療系リワークを実施している医療機関の一覧はこちらからどうぞ。
民間系リワークは全国展開しているところや一覧がないので、今のところはどこがおすすめとも言えません。お力になれず、申し訳ありません。
後日、民間系リワーク一覧のような記事を作成したいと思います。
ちなみにリワークに通うための交通費は自己負担になります。
リワークのメリット、デメリット
まずリワークについてのメリットとデメリットを挙げてみます。
メリット
- 施設に通うことで、自然と規則正しい生活ができるようになる
- 同じ参加者との意見交換で、人や仕事との関わり方を客観的に見つめ直せる
- 専門の方の手ほどきを受けることで、再休職しにくくなる方法が分かる
デメリット
- 症状などにもよるが、プログラム終了までに時間がかかる
- 医療機関でのリワークでは、日額で平均800円程度とお金がかかる(2021年7月での調べ)
つまりメリットは復職前に、ストレスから守る手段が身につけられるというわけです。
逆にデメリットは、プログラム期間が長くなるので、日数分の金額がそれなりにかかるといった感じです。
このデメリットは「自立支援医療」という制度を利用することで出費を軽くすることができます。
自立支援医療のメリットとは具体的に、
- リワークの利用額が一割負担になる
- 利用者(あなた)や世帯の収入に応じて一か月の負担上限額があり、超えた利用額は免除される
- リワークの利用料だけでなく、通院中の精神科や心療内科の診察代、薬代も一割負担になる
といった点が挙げられます。
逆にデメリットの方は、
- 自分で申込をしないといけない。
- 一年単位の更新になるので、その都度、更新作業がある
などの点があります。
休職中はお金について悩まされることが多いので、積極的に利用したい制度ですね。
リワークの内容
4種類のリワークにはそれぞれ特徴や強みがありますが、共通して組み来れている基本課題があります。
具体的には以下の通りです。
- 対人訓練
- 面談によるストレス対策とキャリアカウンセリング
- 職場での実作業を想定したオフィスワーク
それでは一つずつ解説していきましょう
対人訓練
テーマを決めて参加者同士が話し合いや研究をします。
内容は主に
- 参加者同士の症状や今の生活リズムについての話し合い
- 職場を想定して、参加者同士で人間関係(上司、同僚、部下)を割り当てた、社内コミュニケーションの訓練
- 人間関係の問題に対処する訓練
などがあります。
同じような状況に立たされている人同士が話し合うことで、自分の心理面やメンタルヘルス(こころの健康)への理解が深まります。
また、人のこころが理解できることは、今後の人間関係の強い武器になります。
面談によるストレス対策とキャリアカウンセリング
臨床心理士や精神科の先生など専門の医療従事者と面談を受けることができます。
面談の最大のポイントは
というところにあります。
人は自分では気づいていない、無意識にストレスを感じる思考パターンがあります。
プロのカウンセラーと面談することで、その対処法を知るのに効果を発揮します。
この対処法が身につけば、今後の人生がとても生きやすくなるはずです。
さらにキャリアカウンセラーとの面談で、改めて自分の強みや能力を知り、自己理解を深めることで、働く目的などがハッキリしてきます。
実作業を想定したオフィスワーク
復職後に従事するであろう仕事の疑似作業をすることで、体力と集中力の回復を早めます。
内容は利用者の職業によるので、体を動かす軽作業からパソコン操作まで様々です。
利用者の体調の回復が十分でなく、擬似作業ができない場合は、読書などの別の方法で集中力を回復させます。
リワークは後半になればなるほど、週のうちの通う日数が増えます
リワークは実際の復職を想定したものになっています。
ですので後半になり、体力や集中力が回復するにつれて、週のうちの通う日数が増えていきます。
最終的には週5日施設に通うようになります。
有料のリワークは日額での料金なので、後半になればなるほど、出費がかさむようになってきます。
ですのでリワークを受ける前に、自立支援医療が利用できる状態になっておくことをおすすめします。
もっと言えば、うつと診断されたときに申請しておくことが最善です。
リワークを利用しながらの復職のプロセス
前述の通りリワークは利用期間に数か月と、長期間になります。
そして期間が長くなる場合の注意点が2つあります。
これらの注意点を留意して、それぞれの期間が満了とならないように注意しましょう。
リワークを利用した復職のプロセスは具体的に以下の通りです。
- 主治医と相談し復職する時期を決める
- リワークを受ける
- 自宅でも軽い運動(散歩など)をして心身の調子を整える
- 「ならし通勤」で職場復帰
このような手順なら、無理なく復職できます。
どんな状態になったら、復職を考える段階か?
本当は理想の状態で復職したいものですが、時間はなかなかそうさせてはくれません。
ですのでこれらの3つのポイントを判断基準にしてください。
- 医師との診察で、医師側がOKと判断したとき
- あなたが仕事のやる気が出てきたとき
- あなたがある程度規則正しい生活ができている
これは私の経験での話ですが、医師は急性期を脱して回復期に入ったあたりから、復職をすすめてきます。
ですので医師の復職への判断は自分が想定するものよりものすごく早いという印象でした。
ですが回復期であっても、復職に耐えられない状態の場合もありますので、医師の判断はあくまで「第一関門」と考えてください。
それよりも大事なことはあなたの状態です。
- 本当に今の心身の状態で復職したいのか
- 朝、時間通りに起きるなど、普段通りの生活ができているか
などの、復職活動に必要不可欠な状態になっていることが必要です。
その他
- 休職になった原因や、再休職しないための対策はあるか
という条件もありますが、これはリワークを通じて追々考えていきましょう。
リワークに参加する
復職への意欲と生活を正す努力ができているなら、リワークに参加しましょう。
施設に通うことで自然に生活が整いますし、人と関わることで、メンタルの回復も早まるでしょう。
そしてこの期間で、うつが再発しない考え方をしっかり体得したいものです。
復職に向けて、心身の調子を整える
これは復職後や今後の生活全般にも言えることですが
- 心身が疲れにくい生活を送る(睡眠や気晴らし)
- 体力、健康を気遣う(運動や食べ物)
- ストレスを逃がす方法を考える(環境など)
などの対策をして、うつの再発から身を守りましょう。
例えば今の私の生活だと
- 毎日、7時間以上の睡眠をとる
- 健康維持のため、タンパク質中心の食事にしている
- お酒が趣味だが、疲れていたりこころが不安定の時は飲まない
- こころを整えるために、本を読む時間をつくる
- 疲れを感じた週の週末は、思いっきりダラダラして休む
- ジョギングや筋トレなど、軽い運動をする
という感じです。
初めから全部こなすと、逆にメンタルが悪化します。
ですので、できそうなところからゆっくりと一つずつ始めてみましょう。
ちなみに誰にでもおすすめできるものではありませんが、私の当時の社会復帰前の生活を書いた記事はこちらです。(鬼トレーニングメニュー)
職場復帰(条件付き)
会社が許してくれるのであれば、復職直後のこちらの勤務条件を受け入れてもらいましょう。
例えば
- 復職直後の仕事内容は重要度の低いものにしてもらう。
- 半年~1年かけて、勤務時間や内容の負荷を調整してもらう
- 1年経過あたりから通常の勤務に復帰する
- その他、上司のハラスメントがうつの原因なら、異動を申し出る
という感じに。
これはあくまでも一例です。
ちなみに会社へのこういった条件を誰に言うかについて。
これは産業医がいる会社なら、産業医に伝えるのが確実でしょう。
いない会社なら、直属の上司のもう一つ上の上司や会社の代表者も交えて面談する方が好ましいです。
条件や話の進め方を自分で考えるのが難しい場合であれば、リワークのカウンセリングで相談してみましょう。
ちなみに地域障害者職業センターで行う職リハリワークの面談の場合であれば、会社への条件の提示はスムーズです。
なぜなら、あなた、カウンセラー、会社の3者で面談をして、内容のすり合わせをするからです。
うつの再発を防ぐためにも、遠慮せずに条件を願い出ましょう。
補足 復職後の環境が元々ブラックなら転職も考えよう(裏ワザあり)
長時間勤務やハラスメント行為が常態化しているようなブラック企業の場合は、復職前に決めた条件を破ったりする可能性もあります。
または、条件付きの勤務をしていることで、心理的に圧力をかけてくる人がいるなども考えられます。
もしそういう会社の状況にあなたが耐えられないのであれば、転職を視野に入れてみてもいいかと思います。
転職の手順は
- まず転職サイトや転職エージェントに登録しておく
- 休日などに履歴書などの作成を進める
- 再休職する
- 傷病手当金の再申請をする
- 転職活動で内定をもらう
- あばよ!ブラック企業!
1~3は前後しても大丈夫です。あなたの都合に合わせて行ってください。
再休職は言いづらいものですが、もう辞める会社なんだから遠慮はいりません。
お金の問題である傷病手当金は、最初に休職した時の申請から1年6か月以内であれば、期間内は再支給されます。
ですがただ一つ、休職には問題があります。それは
休職期間の給与の未支給期間が転職先に知られる
ということです。
休職するということはつまり、会社からの給料が出ないことを意味します。
そして傷病手当金は、労働ができなくなったときの保険金のようなものなので、給与所得ではありません。
ですので休職期間があると、源泉徴収には給与所得が無い謎の空白期間ができます。
これは、「何らかの理由で休職していた」という証明になってしまいます。
休職した時の転職の裏ワザ
上記のことで「転職先にうつであることがバレたくない!」という方もいらっしゃるかと思います。
そういった方は、ちょっとした裏ワザがあります。それは、
年末までは休職(あるいは前職で就労)し、翌年1月を狙って転職先に入社する。
これだけです。
転職先への就労が翌年1月であれば、内定をもらうのはその年の年末で大丈夫です。
例えば、2020年に内定を受け、2021年正月明けから入社予定といった感じです。
これは、翌年入社であれば、前年度の源泉徴収による税金の計算がリセットされるからです。
なぜ税金の計算がリセットされると、バレないのか?
なぜならそれは、前年度の源泉徴収票を転職先に提出する必要がないからです。
つまり前年度の給与所得から、うつ病歴がバレる可能性が減るということなのです。
このように社会の仕組みを知ることで、少し有利に動くことができます。
もちろん危険性がゼロになるわけではありません。
転職先での給与計算で、所得税などの支払額が少ないことで勘繰られることもあります。
ですが企業側は面接で、あなたが価値ある人材だと判断して採用します。
ですので過去を見るのではなく、これからの働きによって信用を積み上げていきましょう。
定番の転職サイトと転職エージェント
最後に定番の転職サイトや転職エージェントの案内をして終わりにしたいと思います。
登録料や利用料といったものは一切ありません。
ですので今すぐに転職を希望する方でなくても、情報収集などの事前準備のために、登録や面談をしておくと、いざという時にスムーズに転職できます。
是非、参考にしてみてください。
障害者の就職支援
もしあなたが「うつ病歴の開示」にこだわらないのであれば、こちらがおすすめです。
パーソルチャレンジ(DODAチャレンジ)
LITALICOワークス
今回は以上となります。
あなたの回復が一日でも早くなりますように。
今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
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